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2012年7月21日 (土)

ベッポじいさんの、のんびり仕事術

1973年、ドイツの作家ミヒャエル・エンデが書いた、『モモ』の、
「のんびりしたおじいさん」キャラ、『ベッポ』の名言をメモ。


 ベッポは、町がまだねむっている夜明けまえのこの時間がすきでした。それにじぶんの仕事が気に入っていて、ていねいにやりました。とてもだいじな仕事だと自覚していたのです。

 道路の掃除を彼はゆっくりと、でも着実にやりました。ひとあしすすんではひと呼吸し、ひと呼吸ついては、ほうきでひとはきします。ひとあし――ひと呼吸――ひとはき。ひとあしすすんではひと呼吸し、ひと呼吸ついては、ほうきでひとはきします。ひとあし――ひと呼吸――ひとはき。ひとあし――ひと呼吸――ひとはき、ときどきちょっと足をとめて、まえのほうをぼんやりながめながら、もの思いにふけります。それからまたすすみます――ひとあし――ひと呼吸――ひとはき――――――

…(中略)

 「なあ、モモ」と彼はたとえばこんな風にはじめます。

 「とっても長い道路を受け持つことがよくあるんだ。おっそろしく長くて、これじゃとてもやりきれない、こう思ってしまう。」

 彼はしばらく口をつぐんで、じっとまえのほうを見ていますが、やがてまたつづけます。

 「そこでせかせかと働きだす。どんどんスピードをあげてゆく。ときどき目をあげて見るんだが、いつ見てものこりの道路はちっともへっていない。だからもっとすごいいきおいで働きまくる。心配でたまらないんだ。そしてしまいには息が切れて、動けなくなってしまう。こういうやりかたは、いかんのだ。」

 ここで彼はしばらく考えこみます。それからやおらさきをつづけます。

 「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな…つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」

 またひとやすみして、考え込み、それから、

 「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃあだめなんだ。」

 そしてまたまた長い休みをとってから、

 「ひょっと気がついたときには、一歩一歩すすんできた道路がぜんぶ終わっとる。どうやってやりとげたかは、じぶんでもわからん。」

 彼はひとりうなずいて、こうむすびます。

 「これがだいじなんだ。」


なんか、実生活でも見習えそうです。

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